執筆者
やまだ脳神経外科クリニック
院長山田 恭史Yasushi Yamada
所属学会・資格
- 一般社団法人日本脳神経外科学会専門医
頭を打ったとき、その場では軽く見えても、あとから思わぬ症状が現れることがあります。とくに、頭を打ってしばらく経ってから起こる病気には、注意が必要です。頭を打って不安なときは、どうぞご相談ください。
頭のケガには、皮膚の傷のような軽いものから、脳そのものが傷つく重いものまで、さまざまな種類があります。
たんこぶは、打った部分の皮膚の中で出血したものです。擦り傷や切り傷は、頭皮の表面の傷です。
たんこぶの多くは自然に治ります。なかなか治らないときや出血が止まらないときは、一度当院までご相談ください。
頭に衝撃が加わって脳が揺さぶられ、脳の働きが一時的に乱れる状態です。頭を直接ぶつけたときだけでなく、体が強く叩きつけられたときの間接的な衝撃でも起こります。スポーツはもちろん、転倒や日常生活の中でも起こる可能性があります。見た目に変化がないため、本人が気づかずに過ごしてしまうこともあります。
放置すると、後遺症が残ったり、重い状態に至ったりする恐れもあるため、正しい診断と治療が大切です。上記のような症状があるときは、必ず受診するようにしましょう。脳震盪を起こしたあとは、脳をしっかり休ませることが重要です。回復しないうちに再び強い衝撃が加わると、重い状態に陥る恐れがあります。
頭の外傷からおよそ1〜2か月後に、脳を覆う硬膜と脳のあいだに血が溜まり、血の塊(血腫)ができる病気です。ご高齢の方に多く見られ、当院でも診療の機会が少なくありません。
頭を打ってからしばらく経って、次のような症状が現れた場合は、一度当院までご相談ください。
MRI画像検査などで診断することができます。血腫が小さい場合は自然に治ることもありますが、基本的には外科的な治療が必要です。頭に溜まった血を取り除く治療によって、回復が見込めます。
頭や顔に強い衝撃が加わり、頭蓋骨や顔面の骨を骨折した状態です。骨折した部分には、痛みやたんこぶをともないます。頭蓋骨の骨折には、骨折線が一本の線状に入る線状骨折と、骨が凹む陥没骨折があります。
線状骨折は経過を見ることが多い一方、陥没骨折では、凹んだ骨が脳を圧迫したり、見た目の問題が生じたりすることがあり、手術が必要になる場合があります。また、骨折にともなって、頭蓋骨と硬膜のあいだに血が溜まる急性硬膜外血腫を起こすことがあります。上記のような症状があるときは、速やかに受診してください。
脳そのものが損傷した状態です。傷ついた部分の機能に障害が生じるほか、脳が腫れて頭蓋内の圧力が高まることもあります。
早急に救急車を呼んでください
頭への激しい衝撃によって、脳の表面の血管が切れて出血した状態です。
頭を高くして安静にし、冷やしたタオルなどで患部を冷やします。脳震盪の症状や、ひどい頭痛、嘔吐がある場合は、速やかに受診してください。症状が治まったあと、特に1〜2日は様子を見てくださ。その後、1〜3か月ほどは、慢性硬膜下血腫の症状に注意しましょう。
頭皮は血管が多く、少しの傷でも出血しやすい場所です。出血すると驚くかもしれませんが、まずは落ち着いて圧迫止血をおこないます。頭を心臓より高くした状態で、傷のまわりに清潔な布を当て、強く押さえます。軽い傷なら数分で止まることが多いですが、止まらないときは圧迫を続けてください。傷が深いときや、血が止まらないときは、受診するようにしましょう。
打った直後に元気そうでも、注意が必要です。とくに、頭を打ってからまず、当日〜2日は要注意です。その後1〜3か月ほど経って、頭痛や物忘れ、歩きにくさなどが現れる慢性硬膜下血腫は、ご高齢の方に少なくありません。強い衝撃を受けたときや、少しでも気になる症状があるときは、検査を受けておくと安心です。MRIで確認できます。
意識を失った、ぼんやりしている、くり返し吐く、けいれんがある、様子がいつもと違うといった場合は、救急病院を受診してください。見た目に傷がなくても、脳が揺さぶられていることがあります。判断に迷うときは、一度お電話の上ご相談ください。